8/26/2012

7.Beyond words

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7.Beyond words


 上映会は言うまでもなく、大盛り上がり。開場と同時に大勢のサーファーたちが押しかけ、2階の畳の大広間はもちろん、3階の“青爺BAR”も詰めかけた大勢の人達で埋めつくされていく。

 上映会は、石井さん、青山氏、Dickさんの座談会で始まった。3人のレジェンドは拍手喝采でステージに迎え入れられると、聴衆は映画の裏話や、石井さん、青山氏の波乗りに対する姿勢を真剣なまなざしで傾聴している。かと思えば、ギャグが飛び交い、会場は一瞬のうちに大爆笑の渦の中に巻き込まれていく。
 
 夏真っ盛りの京都。会場は熱さと集まった人たちの熱気で満ちあふれ、天井で回っているファンは、あまり意味をなさずただ熱い空気をかき混ぜているだけ だ。全員が入口で配られた特製うちわを片手に、ステージに見入っている。熱さなんて全然気にならない。運良くもこの3人のリビング・レジェンドたちが、京都で邂逅するという奇跡のような瞬間に居合わせていることを、誰もが心の底から楽しんでいる。さらに、五条楽園歌舞練場という艶のある雰囲気がそれに拍車をかけて、集まった人たちを異次元の世界へといざなっていく。 

 青山氏が繰り返し言うように、会場全体が大きな一つの流れとなって、一つになっているのを誰もが感じただろう。そしてその中にいること、自分がそれにとけ込んでいる一部分としてその場に存在していることは、とてもspecial experience だ。
 
  石井さん、青山氏、そしてDickさんと、今日この場所で一緒に居合わせたことが、どれだけ貴重な瞬間であるかを思い、目を閉じると、自分の今までの過去がマブタの裏で駆け巡り、ジーンと熱くなるものが胸に込み上げてくる。生きているということは、一瞬一瞬が奇跡の連続だ。
 
 あっという間に座談会は終わり、ASIAN PARADISE の上映が始まった。集まった人たちは食い入るようにスクリーンに見入っている。初めて観る人もいるだろうし、25年振りに見る人もいるだろう。会場はタイムスリップして、25年前の興奮の渦の中へと巻き込まれていく。

 青爺BARでビールをゲットして2階に戻ると、会場の後ろの方に座って映画に見入っているDickさんを見つけた。隣に座るとニコッと笑って、僕のためにスペースを作ってくれた。Dickさんは少し遠くを見るような感じでスクリーンを見つめ、何か感慨深げな感じだ。当時のことを思い出しているのだろうか。



 そこで、自分が作った映画を25年経ってこのように上映するのは、どういう気持ちなのか聞くと、「Life is GOOD!! Unbelievable!!」と本当に感動している様子だ。そうだよなぁ、25年振りに日本に来て、こんな素晴しい場所で、自分が撮影した映画を上映している。それも会場は超満員だもんなぁ、、、

 と思っていると、少し間を置いて「I did nothing....Hideaki did...」と何かうなずくように言った。これを聞いて、石井さんとDickさんの仲が本当に強い絆で結ばれているということが、僕の中で明白になっ た。Dickさんは、ヒデアキサンのビジョンが無かったら、この映画は実現し得なかったと言っている。
 
 石井さん、Dickさんの二人を見ていて、とても印象に残っていることは、二人の間にはあまり会話がないのだけれど、息がぴったりと合っている、ということ。石井さんは話すのが好きな人だ。久しぶりに会うと、いつも夜中まで話すことになる。それも話が面白い。Dickさんも、一度話し出したらもう止まらない、というようなことがよくある。その二人が一緒にいても、あまり言葉を交わさない、というのは意外だった。
 
 かといって、そんなに仲がよくないのかというと、とんでもない。石井さんが次に何をするか、Dickさんが何をしたいのか、言葉なくして相手の思っていることが分かっている。これぞ心と心の会話だ。阿吽の呼吸というのはこのことを言うのだろう。 



 深い友情には、言葉の違いなんて関係ない。相手のことが分かりきっているなら、ただお互いがそこにいるだけで、特に会話する必要はない。通じてしまう。それは僕にとって、初めてみるコミュニケーションの仕方だったし、余計な言葉がない方が逆に相手にちゃんと伝わる、ということを教えてくれた。この映画は、二人の強い友情の絆があってこそ実現したのだろう。


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8.一生にあらず二生三生なり
    


 
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